薬王山健命寺(けんめいじ)
大湯前の坂を200メートルほど登った山腹に建つ曹洞宗の古刹。天正12年(1584)僧南室正舜(そうなんしつせいしゅん)の開基創建といわれ、本尊は伝聖徳太子作の薬師如来像。傑湯山とも号します。境内には本堂のほか山門、薬師堂、庫裏、鐘桜などが立ち並び、凛とした空間をつくっています。このうち本堂は重厚な木組みの大建築で、正面向拝の彫刻は後藤政綱の手になるもの。二層秀麗は薬師堂にまつられた薬師瑠璃光如来は上杉謙信の陣中守り本尊であったと伝わっています。 さて、この健命寺は野沢菜発祥の地として有名です。それは、当寺八代住職晃天園瑞が宝暦年間(1751~1763)に京都遊学した折、天王寺蕪の種を買い求めて帰り、これを蒔いたところ葉と茎が異常に伸びて野沢菜に変異したのです。今でも健命寺産の原種は江戸時代の農耕方法で栽培されており、山門前には「野沢菜発祥の地碑」「園瑞彰徳碑」が並立しています。