温泉とは? 源泉とは?
温泉法では、地中から湧き出る温水のうち、①温度が25度以上のもの、または②硫黄や炭酸ガスなど特定の物質を一定以上含むものを「温泉」としています。つまり25度以上あれば無条件に「温泉」、また特定物質を1種類でも一定量以上含んでいれば、冷たくても「温泉」といえるのです。また、温泉が沸きだしている場所を「源泉」といいます。
信州・長野県は、「温泉王国」?
信州・長野県は、温泉地数215ヶ所と全国第2位、源泉数は963ヶ所で第6位、湧出量は112,705リットル/分で第5位、全国でも有数の「温泉王国」です。泉質もバラエティーに富み、代表的な11種類の泉質すべてが湧き出ています。
(環境省「平成29年度温泉利用状況」より)
泉質には
どんなものがあるの?
日本で湧き出る代表的な泉質には11種類あり(単純温泉、硫黄泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、二酸化炭素泉、硫酸塩泉、含鉄泉、含銅・鉄泉、酸性泉、含アルミニウム泉、放射能泉)、色やにおい、肌触り、味、効能など、それぞれに個性があります。
温泉には
どんな効果・効能があるの?
①温泉の成分を、皮膚から吸収したり飲用したりすることで病気の回復を促す「化学的作用」、②日常から離れた温泉地の自然環境や雰囲気によってストレスが解放され、心身によい影響を与える「心理的作用」、③温泉の温度や水圧が、新陳代謝を活発にし疲労を回復させる「物理的作用」と、温泉には大きく分けて3つの作用があります。
温泉の禁忌症、適応症って
何だろう?
医薬品と同じように、温泉には入浴が適する病気と適さない病気があり、適する物を「適応症」適さないものを「禁忌症」といいます。温泉法により温泉施設には禁忌症の表示が義務づけられていますが、特定の病気を患っている方には医師の指導のもとに入浴するようにしてください。
温泉はどうやって
湧き出ているのだろう?
温泉が湧き出る形態には、①自然の力で沸き出るもの(自然湧出)、②掘削したところから自然に湧き出るもの(掘削自噴)、③掘削後にポンプを使って汲み上げるもの(動力揚湯)の3種類があります。昔からある温泉には①が多く、最近掘削された温泉に多いのが③で、現在日本で利用される源泉の7割以上が③です。野沢温泉の外湯は①の自然湧出となっています。
温泉はどうやって
浴槽までやってくるの?
温泉から浴槽まで温泉を引くことを「引湯(いんとう)」と言います。温泉施設の状況に応じて ①源泉から直接引湯、②共同貯湯施設から引湯、③タンクローリーやポリタンクにより搬送、という3種類の方法がとられています。野沢温泉の外湯は全て①の源泉掛け流しとなっています。
かけ流し、循環式とは?
どちらも浴槽へ温泉を給湯する方法です。
かけ流しは、浴槽に常に新しい温泉を注ぎ、あふれたお湯はそのまま流してしまうという方法です。循環式は、浴槽のお湯を殺菌、濾過、加温したうえで何度も利用するという方法です。新鮮な温泉を楽しむにはやはりかけ流しが適しているといえます。
入浴にはぬるい温泉や熱すぎる温泉、そんな場合どうするの?
温泉の温度が低くそのままでは入浴に向かないような場合は、人工的に熱を加える必要があります。これを「加温」と言います。気温が低い期間のみ加温する、という施設もあります。逆に入浴するには熱すぎる場合などに、温泉に水道水や地下水などを加えて冷ますことを「加水」と言います。濃度や温度が高い温泉を、入浴に適した状態にまで薄め冷ますために川や井戸水を加えることは江戸時代から行われてきました。現在では、貴重な温泉を有効利用するために加温や加水、循環による再利用などが多くの施設で行われています。
温泉はどうやって
衛生管理をしているの?
一時期、公衆浴場でのレジオネラ菌感染事故が相次いだことを受け、厚生労働省は公衆浴場や旅館などを対象に、お湯の入れ替え(換水)や清掃、殺菌処理の頻度や方法など衛生管理の基準を示しています。また、ほとんどの施設で表示されているレジオネラ属菌の検査結果も、浴槽の衛生状況をチェックできるポイントです。
温泉分析表で何がわかるの?
温泉分析表には、源泉名や泉質、成分表などが表示されています。温泉の成分は、源泉の湧出口、施設の浴槽内、湯口など採取場所によって分析結果が必ずしも同じではありません。そのため、浴槽内や湯口など実際に入浴する場所に近い位置での分析が望ましいとされています。また、温泉の成分は長い間に変化することも考えられので、長野県では5年ごとに分析を行うことを推奨しています。
入浴のマナーとは?
入浴前に身体を洗う、浴槽に飛び込まない、浴槽にタオルを入れない、脱衣場へは濡れたまま上がらない、といったことが基本的なマナーです。露天風呂で石けん類は使用禁止など施設独自のルールがある場合も。温泉を気持ちよく利用するために、一人ひとりがマナーを守り、周りの人への気配りを忘れないようにしましょう。